フォニックスとは
フォニックス(英: Phonics)とは、英語において、綴り字と発音との間に規則性を明示し、正しい読み方の学習を容易にさせる方法の一つである。英語圏の子供や外国人に英語の読み方を教える方法として用いられている。
フォニックスでは例えば「発音 /k/ は c, k, ck のどれかで書かれる」のように、ある発音がどの文字群と結び付いているかを学び、それらの文字の発音を組み合わせて知らない単語の正しい発音を組み立てる方法を学ぶことができる。
(ウィキペディア より)
私はフォニックスについては、言葉自体は知っていたが、その具体的な中身は知らなかった。しかし以前から気にはなっていた。とくにその効果について。
幸運にも塾にフォニックス体験者の生徒がおり、フォニックスの効果について教えてもらうことができた。
私にとってとてもためになる内容だった。
フォニックスの効果に焦点をあてて、教えてもらったことをまとめておきたい。
教えてくれた生徒
教えてくれた生徒は中学2年生。
英語が得意。英語は定期テストでも実力テストでも95〜100点。
フォニックスを学んだのは小学5年の初め。
効果①
単語を見て発音がわかるようになる・音を聞いてスペリングがわかるようになる
これはフォニックスの謳い文句そのままのことだ。
実際にそうなれるらしい。
つまり、フォニックスをやると、英語の音とスペリングが一体化して頭に入ってくるようになるようだ。
そうであれば単語を覚えるのに苦労しないだろう。
実際、その生徒は英語学習開始当初からその苦労はなかったと言っていた。
私自身を振り返ると...
私は英語学習を中学生からスタートしたのだが、音とスペリングを一体化して捉えられる境地に達することができたのは、中3〜高1であったと記憶している。
単語を見てその発音がわかる(予想できる)ようになり、音を聞いただけで単語のスペリングが書ける(予想できる)ようになるのに3年ほどかかったということだ。
私はその3年間は、特にその初期の中1〜2の頃は、単語を覚える際、例えば English という単語なら、
というように、ぶつぶつ言いながら書いて覚えていた。
英語としての音を無視し、ぶつ切りのアルファベットの文字列として、つまり音とスペリングを分離して私は英単語を捉えていた。
よくこんな非効率なことをやっていたものだ今と思うと呆れてしまう...
音とスペリングの一体化。
私の場合3年ほどかけてやっとたどり着いたその境地に、フォニックスをやると英語学習を開始し程なくして到達できるということだ。
効果2
発音がよくなる
フォニックスをやると、英語の音とセットでそれに応じた口の動きも身につくため、発音がよくなるようだ。
私は生徒にこんな質問をしてみた。
mother [ʌ]
father [ɑː]
bird [əː]
apple [æ]
4つの単語の ア の音に違いはあるか?
(発音記号をつけておいたようにこの4つの単語の ア は全て違う。)
その生徒はこの4つは違うと即答した。音と口の動きの対応を示してくれながら。
私自身を振り返ると...
私は高校時代、発音問題対策として区別しづらい発音を覚えるために、単語と発音記号をセットで暗記していた。上で上げた4つの単語の発音もその時に覚えたものだ。
フォニックスをやっていればやらずに済んだ苦労だったということだ。
教えてくれた生徒は発音記号を知らなかったが、受験対策という点では今後もやる必要がないだろう。
効果③
英語を口先で話さなくなる
教えてくれた生徒は言った。
「英語を話すときは首あたりも使うんです。」
私はこれを聞いてその生徒が身につけていること、つまり彼がフォニックスを通して学んだことは本当に素晴らしいことだと思った。
日本語というのは、良くも悪くも口先だけでしゃべれてしまう言語だ。それに対し英語は、私の感覚ではのど(とのどの周りの首)〜口全体をしっかり使わないときちんと話せない。
しかし私たち日本人はどうしても、日本語と同じように英語も口先だけで話そうとしてしまう。
フォニックスをやっていれば、日本語の”発音動作”に縛られることなく、はじめから英語ならではの”発音動作”を身につけられるということだ。
私自身を振り返ると...
私はかつてドイツで生活した。ドイツ語も英語同様、のど〜口全体を使わなければきちんと話すことができない。
私はドイツ生活当初、口先だけでドイツ語を話していた。だが生活する中で小さなコミュニケーション不全を繰り返し経験し、口先だけの発音の限界に気づかされた。そうしてやっとのど〜口全体を使って話すようになった。
これはドイツ語についての経験だが、私はこの経験を通してはじめて、自分の英語の”発音動作”についても見直せるようになれた。
だいぶ遠回りをしたものだ。
ところで、私は第二外国語として中国語を学んだが、中国語も口先だけではきちんと発音できない言語だ。英語、ドイツ語、中国語、日本語。スモールサンプルからの推測ではあるが、おそらく日本語というのは、口先だけを動かせばまっとうな発音ができてしまう希少な言語なのではないだろうか。
そうであればなおのこと、フォニックスを学ぶことで、日本語と外国語は”発音動作”が違うということを外国語学習初期に身体に染み込ませることは有益だと思う。
効果①~③のまとめ
フォニックスの効果は
① 単語を見て発音がわかるようになる
音を聞いてスペリングがわかるようになる
② 発音がよくなる
③ 英語を口先だけで話さなくなる
の3点だ。
この3点はそれぞれが相互に独立したものではない。重なり合っている。重なり合っているどころか、一つのことを三つの切り口で取り出しただけとも言える。
ともかく私は、フォニックスの効果を以上のように理解した。
感想① 私もフォニックスをやっておきたかった
私も英語学習のスタート時にフォニックスをやっておきたかったとしみじみ思う。
私たちは小学校のはじめに五十音の発音練習をする。つまり、日本語学習では私たちはみなフォニックスを学ぶ。日本語学習のスタートとしてフォニックスが重要だと考えられているためだろう。
それなのになぜ英語学習のスタートで学校はフォニックスをやらないのだろうか。そんなことも思った。
感想② 子供にフォニックスを学んでもらいたい
私には現在未就学児の子供がいる。これまではとくに学校で英語が始まるまでは英語学習をさせようとは考えていなかった。
だが、フォニックスを知った現在は、フォニックスはやっておくといいのではないかと考え始めている。
早期の英語学習の目的は、”ゆくゆくは受験英語で有利に”という思惑もあろうが、第一には、早い段階から英語に触れさせ、子供に英語を話せるようになってもらうことだろう。
そのための手段として、
英会話教室に通う
英会話講師を家庭教師にする
英会話教材を購入し自宅でやる
あたりが現実的な選択肢になるのではないだろうか。
私はそうしたいずれの選択肢を取るにしても、我が家の環境では目的は達せないと考えている。
言語習得には
① その言葉を話せるようになりたいという強い欲求(ex. 留学したい)
② 話せるようにならないとまずいという切迫した状況(ex. 話せないならクビ)
③ 日常的にその言語でコミュニケーションをとりたいと思える環境
の3つの条件のうち少なくとも一つが必要だと思う。
小さな子供に①、②を求めるのは無理がある。
よって③が求められる。だがそうした環境を整えるのはなかなか難しい。なぜならそうした環境とは、事実上「親が英語がうまい」ということだろうからだ。
(インターナショナルスクールに通うこともその環境を与えてくれるが、それこそ限られた家庭だけに可能なことだろう。)
我が家は残念ながら私も妻も英語がうまくはない。
子供に毎週英語教室に通わせたとしても、日常のコミュニケーションと英語が切り離された我が家では成果は見込めまい。
また、どうせ英語は将来やるのだから、本人が望むのでもない限り、英語ではない別の何かにそのエネルギーを使ってほしいとも思う。
このように考え、とくに学校で英語が始まるまでは英語学習はさせなくてよいとこれまで思っていた。
(なお、塾講師として多数の子供をこれまでみてきて、”早期の英語学習をやっておくと受験英語が有利になる”という考えに私は懐疑的だ。)
だがフォニックスを知りその考えが変わった。
フォニックスは英語という日本語とは異なる言語を、はっきりと「異なる言語」として学んでいくための土台を作ってくれる。
小学校で英語が「教科化」される小学5年生の前までには、フォニックスだけは子供に身につけてもらえたらと今では思っている。
長文になってしまいました。最後まで読んでくださりありがとうございました(^^♪