すいよう塾の秘密のノート

茨城県、栃木県で活動する個人塾講師・プロ家庭教師の読書日記です。

読書感想 : 『平成政権史』 平成の政治の中心は小沢一郎だった。

 

平成政権史 日経プレミアシリーズ

平成政権史 日経プレミアシリーズ

 

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平成政権史

平成政権史

 

 

本書は平成の30年間にあらわれた政権を、権力闘争という観点から振り返ります。平成の時代は、竹下登から安倍晋三まで17人の首相が生まれました。それだけ多くの政権を新書サイズでコンパクトにまとめているのですから、それぞれの政権についての記述の量は少なく、中身はあっさりしています*1。平成の政治をサラッと走り抜けた、そんな印象です。手軽に平成の政治の大まかな流れを確認するのに本書はちょうどよい一冊です。

 

平成の政治は小沢一郎を軸に回っていた。

本書を読んでいてどうしても目についてしまうのは小沢一郎の名前です。著者は政権の歴史を時系列に従って記述しているだけで、とり立てて小沢一郎をフィーチャーしたところはありません。それにもかかわらず本書には小沢一郎が絶えることなく登場してきます。本書は、図らずも、平成の政治における小沢一郎の圧倒的な存在感を浮き彫りにしています。

簡単に整理してみます。

 

竹下政権・宇野政権・海部政権

竹下政権はいうまでもなく、宇野、海部政権は竹下派の傀儡政権でした。その中心には竹下登金丸信と共に小沢一郎がいました。

権勢を極める竹下、金丸、小沢は、自民党内からはやっかみ混じりで「金竹小(こんちくしょう)」と呼ばれていたようです。

 

宮沢政権

宮沢さんは「小沢面接」で小沢一郎に擦り寄ることで首相の座を手に入れました。

 

細川政権・羽田政権

非自民政権が樹立したわけですが、その舞台回しは全て小沢一郎でした。

 

村山政権

自社さによる連立政権です。これは「反小沢」だけを求心力にした政権でした。

 

橋本政権

 

小渕政権

参院少数で困っていた自民党は、小沢一郎率いる自由党に連立を懇願しました。

当時の自民党幹事長野中さんの発言を引いておきます。「小沢一郎をいままで悪魔と言ってきたけれど、悪魔にひれ伏してでも、この国を救うために連立に参加していただきたい。」

なお、その後自民党自由党の連立解消を決めた小渕・小沢会談の直後、小渕首相は首相在任のまま亡くなりました。

 

森政権

 

小泉政権

公共事業縮小、地方軽視の姿勢をとる小泉政権の動きを見ては、小沢一郎は地方に活路を見出し、のちの民主党政権交代につながる地盤づくりを始めます。

 

安倍政権・福田政権・麻生政権

小泉政権時代に引き続き、小沢一郎は地方固めを進めます。自民党の地盤である地方を根こそぎ奪いにかかりました。

 

鳩山政権

それまでの周到な地盤固めに加え、小沢一郎が選挙のタクトを振るった民主党政権交代を達成し、鳩山首相が誕生します。

力は”小沢一郎幹事長>鳩山首相”で、鳩山さんの上に小沢一郎がいる状態をさして「小鳩政権」「鳩山一郎政権」とも言われていたようです。

 

菅政権
野田政権
安倍政権

 

大連立構想

民主党政権は今では「失敗」として総括されることが「常識」となってきた感さえあります。その失敗を誰よりも早く予想していたのがほかでもない、小沢一郎でした。福田政権時に、小沢一郎自民党との大連立を構想しました。それは民主党には政権を担う準備と自覚がないと考えていたからでした。 

 

第二次安倍政権が発足してからでこそ、影が薄くなってきましたが、平成の政治は小沢一郎を軸に回っていたと言って過言ではないと思います。

 

令和の時代も小沢一郎のような突出した政治家があらわれるのかな。

*1:もう少し言葉を費やして説明してほしいと思うところがままありました。一例をあげるなら、著者は説明もなしに、橋本政権の行政改革を「実質的な意味での憲法改正に等しい」と断じています。橋本行革、具体的には省庁再編と首相官邸の権限強化がどうして憲法改正と同等なのでしょうか。私にはピンときませんでした。これで著者の主張に説得される人はいるのでしょうか。